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日々是勉学


by rotarotajp
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食悦奇譚

塚田孝雄先生著「食悦奇譚」は中公文庫から出ております。内容は正に題字の通り。印象深いエピソードが幾つも収録されておりますが、中でもRotaが「げげっ」と思いましたのはネルソン提督のお話。言うまでもなくホレーショ・ネルソンと申しますれば、英国海軍の大英雄です。隻目、片腕の身で戦列艦に乗り組み、英国艦隊を指揮。トラファルガー海戦でナポレオンの野望を打ち砕いて大勝利をおさめるも、自身は狙撃兵の弾丸に貫かれて戦死してしまいます。国葬の後、遺体はセント・ポール寺院の地下に収められる。トラファルガー広場には今も高い石柱の上に救国の英雄ネルソン提督閣下の銅像がたっておるわけでございます。が・・・問題はこの提督の遺体の運搬法であります。士官らは提督の遺体を、痛まぬようラム酒の樽に漬けました。(トラファルガー海戦は10月です。さほど急激に痛むはずもなかったでしょうから、士官の中にすでに「国葬」を意識した者がいたのかもしれません)
イギリス海軍のラム酒というのは伝統的にアルコール度数が異様に高いものでして、時には度数が70~80%に達するブレンドもあったそうです。そんな酒が一日一合、水兵らに支給されておりました。アルコール依存症にならん方がおかしい。艦内は依存症患者の巣窟です。少しでも「飲める酒」はないかと、みな目を血走らせている。提督の遺体が故国に着く頃、遺体をおさめた樽のラム酒はすっかり「蒸発」していたのだそうです。水兵らが夜毎ストローを樽の隙間に突っ込んでチューチュー吸いきってしまったのだとか・・・。どの程度信憑性のある事なのかは、今となっては確認のしようがない話だとは思いますが、しかし、もしこれが本当にあった事だとして、吸ってる方は遺体が入っていることを知って吸ったのでしょうかねぇ?味に変化はなかったのでしょうか(^-^;
かっかっか・・・まあ、英雄ネルソンも、さぞや居心地が悪かったことでありましょう。
by rotarotajp | 2005-09-26 17:26 | バロック