人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日々是勉学


by rotarotajp
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

フランス暴動

フランスの暴動は相変わらず収まる気配がありません。これまでのニュースを要約すると、以下の通り。
10月27日、パリ北東部(セーヌサンドニ県)で移民系の青年二人が警官の追跡を受け、逃げる途中で変電所に入って、感電死しました。この二青年の死を受けて郊外の若者が投石や放火を開始します。3日から4日にかけて、暴動はフランス地方諸都市に飛び火。マルセイユ、ディジョン、ルーアン、リール、ストラスブール、ニースなどで路上の車が燃え上がります。クラマールでは火炎瓶を手にした10歳の子供が警察に補導され、世間を驚かせました。バスから降りた女性が可燃物を浴びせられ、火をつけられて重度の火傷をおうような凶悪な事件も発生します。ショッピング・センター、保育園、小学校、そして教会までもが焼き討ちにあいます。フランス全土で1000~3000台を超える車が破壊され、国内観光産業への影響が懸念され始めるのです。
6日、米仏大使館はパリへの観光客にシャルル・ドゴール空港からパリ中心部までの鉄道利用自粛を呼びかけました。線路が暴動頻発地区を通っているからで、電車が襲撃される事態を懸念しての事でありましょう。
国内の治安責任者、サルコジ内相は持ち前の強硬姿勢を崩さず、為に暴徒を刺激して、国民の信頼を失いつつあります。そんな中でドビルパン首相は最初に死亡した二青年の遺族に面会。例によって火事場泥棒的な人気取りに走りました。将来の大統領選への配慮が、この二人の大政治家の目を曇らせているようです。警察組合は全体の状況を「内戦」と形容。内相に夜間外出禁止令の発令を求めます。
暴動の背景にあるのはフランス社会に根強くある移民差別の現状です。中東系、北アフリカ系移民、その2世3世は郊外の低所得者用住居に住み、高い失業率と差別的な低賃金労働に喘いでいます。イスラム系移民はフランス全土で500万人を越えるといわれ、今回の暴動でも最も目立つ存在となっているようです。(フランスのイスラムについては、つい最近学校での女生徒のスカーフ着用の是非が話題となったばかりです)
6日、週明け7日に暴動を持ち越すまいと、ついにシラク大統領が表に出て声明を発表します。大統領は共和国と「暴動」との徹底的対決を宣言しました。その夜、パリ市内には1000人の警官が追加配備され、投光機付のヘリコプターが導入されます。
今後の動向は予断を許しませんが、Rotaは事件終息後の反動を恐れています。先だっての大統領選では、移民排斥を訴える極右政党(FN「国民戦線」)のルペン氏が大量の票を得て、決戦投票にまで残りました。このネオナチに甘いソフトクリームをかぶせたような勢力は今も健在で、広く国民の支持を集めています。暴動終息後、フランス国粋主義の躍進と、移民(非白人非フランス人非キリスト教徒)に対する報復が始まらないとは、誰にもいえません。先を憂えるのみです。
by rotarotajp | 2005-11-07 16:55 | 時事