日々是勉学


by rotarotajp
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廃墟文学

 正月早々、廃墟の文学「ハインリヒ・ベル短編集」(岩波文庫)を読んでヘコみました。
 短編集の最初の一篇は「旅人ヨ、スパルタノ地ニ赴カバ、彼ノ地ノ人ニ・・・」。断末魔の小動物を見せ付けられるような、どんな目出度い気分も吹き飛ぶ悲惨な戦争小噺です。
 内容を明らかにすると読む「楽しみ」が失せるでしょうから、本編周辺の感想を少々。
 表題の「旅人ヨ~」はスパルタがペルシャの大軍を破ったテルモピュライの戦の古戦場に掲げられた碑文であります。
Go, stranger, and to Lacedaemon(スパルタ) tell
That here, obeying her behests(義務、法), we fell
(George Rawlinson)
 もっとも原文は当然ギリシャ語でありまして、様々な翻訳版が各国で流布されております。日本語で「これが決定版」のような訳がないようなので英語版を貼りました。
 シラーの名文(逍遥)によってドイツでは特に人気のあった言葉で、ラケダイモンをドイツに置き換え、スターリングラード戦などで連呼されたものだそうです。
 こうした過去の文化の残り滓が荒廃した景色に織り込まれ、作者の意図するところではないでしょうが、作品に「救い」を与えているように感じます。どんな業火の中からも燃え残るモノはあり、洗われた白骨は歴史を突き抜けて輝くのです。
 いやぁ、文学だなぁ
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by rotarotajp | 2007-01-11 12:53 | 私事