日々是勉学


by rotarotajp
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人殺しの心理学後半部

 学生の頃、ある人と政治談議をしていたら「信仰は人それぞれなのだから、実際には宗教集団というものは存在しない」という箇所から話が進まなくなったことがあります。「国家も存在しない」ということになりました。信仰同様、まったく同じ国家観を共有する国民などいないからです。その伝で文明も存在しないということになり「文明の衝突」はありえないという結論に行き着いて大笑いしました。
 魅力的な考えですが、もちろん人間を理解する方法としては実際的ではありません。
 ある人を眺めながら、その肉、その細胞、その原子、その分子と分解し、分子に個性はないから「あなたは存在しない」といっているに等しいからです。

 「自分」というものは自分が思うほど確かなものではなく、独自のものでもなく、周囲の環境に溶け合っているものだと考えるのが至当でしょう。
 環境の一部である人の集団(社会・組織)は個より上位にあります。上記の例でいえば、宗教集団が人の信仰をつくるのであって、人の信仰が宗教集団をつくるのではないのです。

 【戦争における「人殺し」の心理学】後半部に、あるベトナム帰還兵の言葉が引用されています。

「~そういう若いのをしばらくジャングルに送り込み、心底びびらせて眠れないようにしておけば、ほんのちょっとしたことで恐怖は憎悪に変わる~中略~ついでにほんのちょっと集団の暴力を経験させてやれば、ここにいるあのお行儀のいいのだって、昔の戦士みたいに女を強姦するようになる。殺しと強姦と盗みが目的になってしまうんだ」

 個が集団・環境に与える影響より、集団・環境が個に与える影響の方が強力なのは自明ですから、集団を動かせる者、個人の環境に影響を与えられる者は、個の存在を操作・誘導出来ます。

 極端な例は独裁者でしょうか。

 ヒトラーは「わが闘争」で、ドイツの青少年をユダヤ憎悪の中に取り込みました。一度ヒトラーに同意し、ユダヤ人に憎しみを抱いた者は総統を裏切り難くなります。ユダヤ人に吐いた唾が自分に戻ってくるからです。何らかの残虐行為に加われば、総統との絆はますます強くなります。
 
この部分の消息を【戦争における~】の著者はこう表現します。

「残虐行為はたんに正しいというだけではない。殺した相手よりも自分の方が、倫理的社会的文化的に勝っているという証拠なのだと、そう兵士は信じなくてはならない。~中略~自分は過ちを犯したのだという考えを、殺人者は力ずくで抑え込まなくてはならない。そしてさらに、この信念を脅かすものには、それが何であれ激しく攻撃を加えなくてはならない。殺人者の精神の健康は、自分の行いが善であり正義であると信じられるかどうかにかかっているのである」

 独裁者は兵士を、人として耐え難い行為に引き込むことによって、彼らの狂信的な忠誠を買うのです。戦争で強姦や冷酷な処刑が横行するのは、実際にそうした残虐行為で誰かが何らかの利益を得ることが出来るからです。ベルリン陥落後、十万人の私生児が母親たちの手に残されました。指導部の明確な指示に従って、ソ連兵が強姦行為に励んだからです。

 強制収容所や民族浄化などの証拠が幾つもありながら、六〇年代の左翼思想家は熱烈に共産社会を崇拝し続けました。彼らは「人民」のためなどではなく、自分の精神を守るために戦っていたのです。ついに彼らが折れたのは、ソ連邦が崩壊して数千万人の、ナチが霞んで見えるほどの大虐殺が白日のもとに晒されて以降でした。

 ちなみに今も旧ソ連圏での自殺者が異様に多いのは、あるいは自己の正当化の作業が困難であるからかもしれません。

 とにかく、戦争をこのように表現した本をRotaは他で見たことがありません。
 日本がこれから戦争(防衛)をするのは大変だなぁ、と思います。もしこの本が正しく軍隊と兵士の心理を表現しているのなら、自衛隊はおそらく侵略をうけても機能しないでしょう。
 もう一点、もっと一般の学生などが軍隊や戦争に関する常識を身につける場があってもよいのではないかと思います。中学か高校の必修であってもおかしくありません。少なくとも選択科目としては設置されるべきでしょう。優秀な軍人を選抜する役にもたちますし、戦争の実際を教える場としても使えます。(人材不足で平和念仏教室になるのがオチかな・・・汗)

以上、【戦争における「人殺し」の心理学】ちくま学芸文庫(一五〇〇円也)を読んでの感想でありました。前半部・後半部の別はRotaが栞を挟みこんだ箇所を勝手に名付けているので、実際にはそんな章わけにはなっておりませぬ。念のため。
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by rotarotajp | 2007-04-29 19:44 | 私事
 【戦争における「人殺し」の心理学】(ちくま学芸文庫)前半部読了。本の当り月らしく、これも本当に面白い。大満足である。

 原題は[The Psychological Cost of Learning to kill in War and Society]
 裏表紙にウェストポイントの陸軍・空軍士官学校で教科書として使われているとあるが、敬遠するほどのものでは決してない。若い候補生向けであるせいか、全体に専門書臭くなく、(いまのところ)読み物としての品質を充分備えている。

 何といっても目からウロコだったのは、兵士の心理を研究する学問が成立し、応用されているという事実そのもの。機械の様に、あるいはパブロフ博士の犬のように、心を調整(プログラミング)され、戦場に送り込まれる無名の兵士たちの、何ともいえない無残さに眉をひそめた。

 巻頭で紹介されるのは、兵士たちのギリギリの殺人忌避行動。
 第二次世界大戦中、前線にいた兵士の約八割は、仲間の給弾を助けたり、負傷者を後方へ移送したり、(もちろん自分の身を危険に晒しながら)敵を殺す以外のことは何でもやったにせよ「実際に銃を構えて前方の敵を撃つ」=「殺人」には踏み込めなかったという。
 本書の特徴は色々な実験や調査の結果を、あるいは戦訓(兵士の証言)をふんだんに取り入れているところで、フロイトやユングの本にはないわかり易さと、直裁さが嬉しい。

 チャーチルは著書の中で「戦争から輝かしいものが消えうせた」と嘆いたが、英雄たちの時代にもそんなものはなかったのかもしれない。
「おまえは人殺しだと自分で自分を責めた~犯罪者になったような気分だった」ナポレオン時代のイギリス兵の証言。

 第一次世界大戦中、ドイツ軍に包囲された第七七師団のある大隊は、食糧も水も弾もない状態で何日も戦い続けた。生存者は大隊指揮官ホイットルシー少佐の不屈の精神力のおかげだと口をそろえて証言。「彼は降伏を拒否し、次第に減っていく生存者を絶えず激励し」結果として少佐は名誉勲章を授与された。
 著者は続ける。
「ここまでは良く知られた話だ。だが、戦後まもなくホイットルシーが自殺して果てたことを知る者は少ない」
 著者は様々な調査結果や証言をもとに、戦場で兵士を襲う恐怖の本質は兵士自身の死や負傷ではないと結論づける。それは自分の暴力で人が死ぬことであり、自分のせいで戦友が死に、あるいは傷つくことなのであると。著者は少佐の自裁をそうした文脈で捉える。

 こうした本質を備える(もっともこれは全体の九八%のことで、残り二%には当てはまらないらしい)人間を、軍隊は殺人者、あるいは殺人の命令者として「調整」しなくてはならない。おそらく一般の兵士は、自分がどのような原理に基づいて訓練されたかを知るまい。
 気味の悪い本だが、面白いのは確かだ。
 軍隊の仕組みに興味があるなら、手にとって損はない。

 さて、後半部やいかん。
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by rotarotajp | 2007-04-28 19:43 | 私事

十字軍

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 「アラブが見た十字軍」(ちくま学芸文庫)読了。
 文字通りアラブの目から見た欧州勢の聖地回復運動で、訳者が解説で書くように、おそらく「わが国には類書がない」。
 この時代に興味ある人なら手にとって損はないでしょう。歴史書ではなく、より読み物的な要素の多い本です。とにかく面白い。

 冒頭しばらく、有望な人がたっても、たちまち暗殺され、あるいは戦場で斃れ、アラブはまとまりがありません。一方の十字軍は悪逆の限りを尽くす。人食いまで横行する。全身を鉄板で覆った金髪長身の野蛮人が、焚き火に串刺しの子供をかざして食う。強烈なイメージではありませんか。それもアラブの証言ではない。著者はこの箇所では特に「フランス年代記作家の記述」と断って引用します。
「わが軍は殺したトルコ人やサラセン人ばかりでなく、犬を食べることも憚らなかった」

 やがてサラディンの登場で事態は急展開を迎えます。本書の山場の一つです。サラディンの伝えられる人柄で最も心うたれたのは以下の一文。
「スルタン(サラディン)が没した時、国庫にはティールの金塊一個と銀貨四十七ディルハムしかなかった」
 サラディンは質素を好み、富を貪りませんでした。そして敵も味方も粗略には扱わなかったとか。アラブ世界では無欲と謙虚が最高の武器になるようです。(現代の中東には・・・汗)

 記述は少ないですが、次に登場する英雄は地中海的国際人、シチリアのフリードリヒ二世です。アラブとビザンチンと、そして西欧が混じりあったこの君主は、アラブ的な方法で聖地を回復します。(詳しくは本書か歴史書で)

 面白かったのはアラブが見たフリードリヒ二世の横顔。
「赤毛で頭は禿げ、近視であり、もし奴隷だったらディルハム銀貨で二百枚の価値もないだろう」(ダマスカスの年代記作家シブト・イブン・アル=ジャウジ)

 最終的にアラブ世界は十字軍運動で奪われた沿岸地を回復しますが、以後は没落に向かいます。代わって文化の華を咲かせ、雄大な文明の構築に成功したのは欧州でした。著者は最後のマトメで軽くその点に触れて筆をおきます。

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P.S.
 怒涛の勢いでマイケル・ムーアの「華氏911」を再度鑑賞。
 欝々とした気分で本日終了。
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by rotarotajp | 2007-04-27 21:03 | 私事
 昨夜の記事が実にうけたので、本日ただいま読むことが出来る朝鮮日報HPの記事から面白いと思われるものをピックアップ。
(かなり昔の記事まで読むことが出来るようです)
 ちょっとした海外旅行の気分ですね。インターネットの醍醐味でしょうか。だんだん愛韓家になって来ているような気さえしますヨ・・・(汗

★韓国最古の男根彫刻、馬韓時代の遺跡から発掘
http://www.chosunonline.com/article/20070424000008
古代のロマン!写実的に創られているそうです。1800年前のナニの模型が残ってしまうという、ある意味モデルになった男性には痛恨の新発掘。

★【コラム】自衛隊員の葬送式に出席した安倍首相を見て
http://www.chosunonline.com/article/20070424000041
日本にも怪しい総理大臣は数々おりましたぞよ。
「今ごろ日本側が言い逃れできないほど真相が明らかになっていたことだろう」←ここの所はイカガなものか?

★「呆れる人種差別」 恥ずかしい韓国人
http://www.chosunonline.com/article/20031029000091
日本にもないことではない。同病相哀れむ。

★日本人ジャーナリスト、伊藤順子さん「ハーレムより怖い韓国」
http://www.chosunonline.com/article/20011017000037
2001年でそうとう古い記事ですが・・
「ネパールのホテル従業員が「韓国では反抗すれば手足を切られる。コリアは南も北もおそろしい場所」と怖がる話」
こっちは日本ではあまり聞かない話だ。「本全体に韓国に対する愛情が込められている」とかキレイにマトメる話じゃない。

★フランスがまた言い掛かり「宇宙船でキムチ食べるな!」 
http://www.chosunonline.com/article/20061018000074
「韓国の食文化に批判的だったフランスが」←最初のこの一文がウケた。

★「盧大統領「日本とは対決しなければならない」
http://www.chosunonline.com/article/20060717000017
つまり日本は友邦ではないと・・・

★「日本の態度は人類社会の普遍的価値にそぐわない」
http://www.chosunonline.com/article/20050408000032
もう一個。
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by rotarotajp | 2007-04-24 21:04 | 時事
 早く寝すぎて目が覚めました。で、ちょちょいとニュースをつまみ読みすると・・・朝鮮日報のトップにえらいインパクトある記事が・・・(汗

 朝鮮日報は言うまでもなく韓国三大紙の一つです。その日本向けHPに「独島:日本の「侵奪6段階シナリオ」とは?」という記事が掲載されています。
http://www.chosunonline.com/article/20070423000063 
 まあ、実に「おいおい、」といった内容。要約すれば竹島問題は最終的には軍事紛争に至るという観測です。

 この記事の内容全体が、武力解決を嫌う日本の足元を横目で見ながらの、婉曲な脅迫としか思えません。(しかも発表元は政府傘下の研究機関)4)は3)を、6)は5)を牽制しているわけです。

 日本はこれまで先般暴露された秘密協定(真贋のほどは明らかではないが「解決せざるをもって、解決したとみなす」という棚上げ宣言的協定)(韓国側は問題となることを憂慮して「写本も用意されていない独島密約文書の原本を燃やしてしまった」とのこと)(ついでにいえば、仮に存在しているにせよ、すべての条項が韓国側によって破られている)を律儀に守ってきているようです。

 昨今、日本は軍事アレルギーが急速に薄れてきています。
 本当に韓国は日本と一戦構える気があるのでしょうか?「断固として対応する」とは以前からのセリフですが・・・本当に日本と戦争をしても竹島を占拠し続けたほうが自国の利益にかなうと信じているのでしょうか?

 戦争には勝者と敗者しかおりません。もし韓国が日本との戦争を確信しているのなら、日本は「対応」していかざるを得ないでしょう。「戦争を望む」というのではなく、その道しか残されていないということです。

 北方領土で戦争していないから、尖閣で戦争をしていないから、竹島でも戦争をしない、というのは間違いです。韓国との戦争には一分の勝機が日本にもあります。戦力は公平に見て互角でしょう。兵器の量や質では日本が勝ります。兵士の気概、国民の団結、朝鮮戦争以来蓄積され続けた戦訓では韓国が勝るでしょう。国際的には中共とアメリカの代理戦争のような形になるかもしれません。

 もっとも「わが身は裸になっても平和国家」信者も大勢いるのが日本です。そうした方はとにかく年金も返納して、家屋敷も売って、率先して丸裸になって韓国に竹島の対価を差し上げたらよいのです。あちらはコブシを突き上げて(戦争=命を含めて)「よこせ!」といっています。お金で済むなら安いものです。もっと厳しくいえば家族も売り払えばよいのです。北の拉致を傍観して「平和」というのはそういうことなのですから。
 本当に口ほどそうした人が日本にいるのなら、きっと戦争にはなりません。
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by rotarotajp | 2007-04-24 02:46 | 時事

仏大統領選

 フランスは大統領選です。思えばJACK(本当はJacques)とアメリカ流の選挙戦術を皮肉られたシラク大統領の最初の選挙も、ずいぶん昔のことなのであります。
 さて、今回の候補者は四名、目出度くもルペン氏は最下位で、決選投票は大統領の椅子に王手をかけた初の女性候補ロワイヤル氏とサルコジ氏であります。サルコジ氏は中道右派、ロワイヤル氏は左派でありまして、まず労組を大事にするロワイヤル候補当選なら、大統領の任期は五年ですから、今後五年、フランス経済は停滞を続けそうな気配です。本命のサルコジ候補当選なら、それなりの改革がありそうですが、フランスらしい労働環境は失われていくでしょう。なかなか見所満載の選挙なのであります。
 実はフランスはEU加盟30ケ国弱(数知らぬ)・・・の中では大国であります。人口は約6000万、GDPは約2兆ドル、両者共に日本の半分ほどもある。EU全体の人口が4億ですからドイツの約8000万と共にEUの中心的存在といってよいでしょう。

 今後のEUには課題が山積しております。アメリカに保安官の役を押し付けた安全保障のイイトコ取りや、東方イスラム教圏との融合、アフリカ問題、移民問題、地域間格差に至るまで、どれ一つをとっても致命的です。エネルギー問題、ロシアとの関係等々も取り沙汰されてくるでしょうし、アメリカに次ぐ覇権者(ここにはまだ疑問符がたくさんつきますが・・・)としての姿勢、哲学のようなものも問われてくると思います。(第一次、第二次世界大戦は国家間の協調による安定などないという教訓であったはずですが、なぜか欧州では協調神話が生き続けているようです。誰にとっても自明のことですが歴史は強力な覇者による統治抜きの安定を否定しています。国家に倫理を求めるのはナンセンスだからです。例えばフランスはイラク戦開始の時にずいぶんカッコのよいことを主張しましたが、ああした風にアメリカによる世界統治(紛争の火消し)を非難しながら、世界最大の武器輸出国の一つとして第三世界に死(紛争の種)を売り歩いています)非難するのは何事においても簡単なことですが、いざEUが世界の安定に責任を有する立場となったら、アメリカ以上の統治が出来る保障はなにもありません。

 はて・・・本筋から外れましたな・・・・汗・・・フランスの魅力はあの鈍感な田舎っぽさ、貪欲さにあるとRotaには思えるのですが、大半の日本人は「ベルばら」の繊細洗練をフランスに求めているような気がしてなりません。あれはあくまである日本女性が妄想した架空のフランスでして現実とはぜんぜん掛け離れたものだと思うのですがね・・・
 フランスが好きな日本人というのはどうも理解できない。イタリアやドイツの方が日本人好みであろうと・・・ああ・・・枢軸ですな(笑
 ・・・脱線がよけいにヒドクなってまいりました・・・・

 EU経済は順調に拡大を続けて、ややバブルの状態にあるとは衆目の一致する所であります。おそらくはある種の経済的混乱を経験するであろう新フランス大統領。あまり手際の悪いことをすると、ルペン氏が下に控えている。
 直接日本には関係のない国といってしまえばそれまでですが、頑張っていただきたいものです。
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by rotarotajp | 2007-04-23 05:52 | 時事

エルサレムのギー王

 ハッティンの角でサラディンの奇襲を受け、エルサレム陥落の直接の原因を作った王ギー・ド・リュジニャン。この合戦でテンプル騎士団総長リドフォードと共に虜囚の憂き目をみます。

 この二人、実に歴史上、評価が低い人物でありまして、イスラム教側にもキリスト教側にもロクな証言が残されておりません。この人たちの周囲に配置されるのはキプロス島を略奪した強盗騎士ルノー・ド・シャティヨン等、錚々たる悪人ばかり。

 もっとも歴史に悪人のレッテルを貼られたといっても、この当時、真に最大最悪の人はヴァチカンに巣食った(後世の新教徒風にいえば)大悪魔でありまして、末端のこれら騎士たちの悪行は、免罪されるとの確信あったればこそのものと思われます。

 さて・・・、サラディンは聖都エルサレムからのキリスト教徒の避難を許しましたが、当時の風習として身代金を課しました。(この時、テンプル騎士修道会は金融業で莫大な利益を得ていたのに(本来は宗教上の罪となるのですが)僅かな身代金支払いを渋り、多くの人を奴隷の境遇に落としたといわれています)
 ギー王とリドフォードも格別巨額の身代金を払って自由の身となります。もしこれが現代でしたら「この二人を自由にするほどの金があるなら、一人でも多く残されたエルサレム自由民を救ったらどうか」という議論になるでしょうが、なにせ当時のこと、貴人騎士を優先するのは当然でありました。

 索漠とした中東の砂漠の景色の中で、鋼鉄の冑と鎖帷子をまとって戦った騎士、従士、歩卒。その妻と子供たちの悲喜劇を思うとき、宗教の暴虐と死臭の合間に、何ともロマン溢れる情景が頭をよぎります。

 ギーやリドフォード、強盗騎士ルノーのような人物は、おそらく誰にも尊敬はされないでしょうが、人間臭さを強く発散させる、この時代の悪人の典型の一つとして、これからも奇妙な形で愛されていくのではないでしょうか?
 無論、サラディンのかっこよさは別格ですが・・・。

 拙者が変な人ばかり好きになっているだけかしら・・・汗
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by rotarotajp | 2007-04-22 14:44 | バロック

事件

 米国で史上空前の犯罪が起きました。不安定な精神状態にあった学生が銃を乱射し、32人を殺害したというもの。

 ところでネットでニュースを検索していると、すでに一部でこの事件を「韓国」をキーワードにして捉える風潮があるように感じますが、これは日本にとっても危険です。
 外から見れば日本も「アジア系」として一括りにされる存在であることを忘れてはなりません。サッカーなぞでアジア協和を謳うのも結構ですが、こうした時こそ植民地支配に苦しんだアジアは人種差別は許さぬと訴えるべきであります。

 個の犯罪を民族や国家に敷衍するのは前世紀の差別思想そのままでありまして、個と集団は出来うる限り、特に今度のような事件においては峻別されなくてはならないでしょう。

 明治維新後、帝国主義国との付き合いでさんざ苦労した日本に、こうした民族差別に乗じるかのような言論があるのは残念です。
 この際、襟を正し、言葉を吟味して臨むべきだと思います。

 実際、あそび感覚でしょうが、特に日本の国益が関係しないこうした事件においても、掲示板等でナチまがいの言葉が書き込まれているのをみると「大丈夫かよ?」と心配になります。
 信仰は「信じるふりをしていれば自然と身に備わるもの」といいます。人は遊びのつもりでいても、いつかは自分で書き、いい続けたことを信じ始めてしまうものです。

 日本は戦後、個別のことに是々非々はあるにせよ、きわめて高い理想を求め、節度を保ち続けてきました。今後もあまり隣国やらアジアやらに捉われすぎず、世界人類を相手に、人類の歴史を創っていくのだと、大きな気持ちをもっていきたいものだと、おっさんくさい意見で終了。

 それにしても、この事件、やはりアメリカの銃社会の問題として捉えるべきなのでしょうね。武装抵抗権はアメリカの民主主義を守る大事な仕組みの一つですが・・・ううううんむ・・・・・アメリカの明暗は常に世界史的意味を持っています。この件も将来にどんな影響を及ぼすやら・・・

(アホな事を書いていたので夕方に一部修正。考えなしにダラダラ書くとトンデモないことかいてたりしますね。キヲツケナケレバ・・・)
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by rotarotajp | 2007-04-19 14:48 | 時事

おまけ

おまけに時事放談
(あくまで放談なので念の為)

 ヒトラーは一九三六年のベルリン・オリンピック成功後、貪欲に領土的欲求を追って三年後には世界大戦を引き起こしました。このオリンピックの頃までは人種攻撃も穏やかで、領土要求なども感じさせない清廉な態度を保ったといいます。今も昔もオリンピックの成功は国家の大目標足りうるので、自然とボイコットの呼び水となりそうな事柄にはブレーキがかかります。恐ろしいのはその反動です。

 日本の場合、東京オリンピックの後、まるで縮んだバネが伸びるように大きな経済分野での爆発がありました。東京オリンピックまでの日本の主な国家目標が経済的成功にあったからです。

 では現在の中共の国家目標とは一体何なのでしょう?
 経済的成功でしょうか?それもあるでしょう。しかしそれだけではない。先日の温家宝首相の演説では台湾問題とアジアでの覇権確立が上位に位置されていました。
(首相演説内で「原則」とされている目標の1は台湾問題、2は領土問題における日本の譲歩を求めており、ようやく3番目以降で経済と相互協力について言及される)

 オリンピック後3年で台湾侵攻・・・と、ついナチの歴史を思い起こしてしまうのも、まったく根のないことではありません。
 その頃にはアメリカ大統領は中共に厳しい共和党から、以前には中共ロビー・マネーを吸収し、日本を飛び越えて「大国外交」を行ったクリントン大統領その人の奥方、ヒラリー現上院議員である可能性が高いのですから。

 ヒトラーの時代には大英帝国のチェンバレン首相、21世紀の大戦争にはアメリカ初の女性大統領・・・といったことにならなければいいなぁ、と・・・・こんな無責任な想像をするところが「放談」なわけです。

 少々悪く見過ぎていますかしら?
 台湾海峡で戦争が起こったら日本はシーレーンを絶たれます。石油が止まるわけです。だから長い目で見れば結局は勝った方につくしかない。常識的にはそう遠くない将来、中共政府に従属せざるを得なくなるということです。
 その時になってチベットの虐殺やおそらく台湾でも起こるであろう搾取(今は香港でゆるやかに行われている)などのことを、わが身に置き換えて考えられるようになるのだと思います。

 共産主義が崩壊して安全圏に逃げ込んだ欧州はアメリカの覇権を邪魔にしますが、日本はまだまだアメリカ様がいないと難しい。

 放談の結論はどこへ行き着くかといえば「ブッシュ大統領、がんばれ!」と・・・
 ・・・・だめだろうなぁ(^-^;
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by rotarotajp | 2007-04-16 01:25 | 時事

十字軍騎士団

 講談社学術文庫「十字軍騎士団」を楽しく読了。テンプル騎士団(騎士修道会とも)、聖ヨハネ騎士団(同)と十字軍のアレコレ。

 ちくま学芸文庫の「アラブが見た十字軍」も最初の本屋で見かけて手に取ったのですが、持ち合わせがなくて断念。

 この筋のものをアマゾンで検索すると「十字軍の音楽」(CD)「聖王ルイ」ちくま学芸文庫「コンスタンチノープル征服記」講談社学術、ベルヌーの「テンプル騎士団」白水社、等々。意外に読み応えのありそうな本が山積みなのであります。

 さて、テンプル騎士団と勢力を二分する聖ヨハネ騎士団というと「なんじゃ?」というのが最初のRotaの知識量でしたが、これは後のロードス騎士団、マルタ騎士団のことなのだとかで納得。この騎士団がもっぱら巡礼者用の病院を運営することから始まったというのは初耳。聖ヨハネ騎士団に付属した女子修道会が、すなわち女性看護士(看護婦)の歴史的起源とみられているのだそうです。
 テンプル騎士団が軍事に特化した集団であったが故に、世俗権力と争い異端とされ、最後は騎士団長以下が焚刑に処されるという無残な最期であったのに比べ、聖ヨハネ騎士団が弾圧も受けずに生き残った理由の一端は、このわかりやすい慈善行為にあったのではないかと「十字軍騎士団」の著者はほのめかしています。

 現代史的にも意義のある「文明の衝突」の実例的テーマ。機会があればもっともっと付き合ってみたいものです・・・・とはいえ・・・紹介されている原書類が読めないことを考えるとやや悔しい(^-^;(こういう感覚は資料マニアの証拠なのかしら?) ・・・・フランス語とアラビア語、ラテン語。チュートン騎士団を含めるならドイツ語も必要です。・・・しかも当然古典文法なのでしょう。

 実用に耐える万能翻訳機はまだまだ登場しそうにありません。2001年あたりには自我をもったコンピュータが生まれてるはずだったのですがね。
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by rotarotajp | 2007-04-15 22:28 | 私事