日々是勉学


by rotarotajp
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

<   2007年 11月 ( 5 )   > この月の画像一覧

Night Falls Fast

「生きるための自殺学」(新潮文庫)の第二章まで読了。

 なかなか面白いです。
 著者はケン・ジャミソン氏(Kay Redfield Jamison)
 博士の経歴についてはこちらをどうぞ↓
http://en.wikipedia.org/wiki/Kay_Redfield_Jamison

 本書の出版(原書:Night Falls Fast: Understanding Suicide)は1999年。当時からアメリカでは毎年30000人近くが自殺していました。著者は「間違いなく最も深刻な公衆衛生上の問題」とその状況を嘆いていますが、そのアメリカより遥かに人口の少ない日本で、やはり30000人の自殺者が、それも9年連続で発生している現状を思うと暗澹とせざるを得ません。

 自殺は絶望と深い関係にあることはつとに知られた事実であります。
 1990年代後半以降、およそ27万人が粛々と絶望の道を歩んだ事を思うと、その壮絶さに身震いします。バブルの崩壊は地獄の門が開いた音だったのかもしれません。
"Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate"(神曲:地獄ノ門の碑)

 さすがに立法/行政府も手を拱いてはいられないということか、平成18年10月からは自殺対策基本法が施行され、同法に基づく「自殺対策白書」も先日公開されました。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2007/pdf/zenbun/index.html


「生きるための自殺学」には様々な自殺が紹介されています。

「バートンはパジャマに着替え、シルクのガウンをまとうと、ベッドにもぐりこみ、「グレイの解剖学」の人間の心臓が描かれたページを開き、頭に銃弾を撃ちこんだ」

 箒の柄を飲み込んで死ぬ者、繰り返し生の塩酸を飲んで死ねず、ついには火のついた花火を飲み込んで死ぬ者。ビールをいれた容器に顔をつけて溺死する者。

 自殺未遂を何度も繰り返した詩人、ドロシー・パーカーの詩も引用されています。

かみそりは痛い
川はじめじめしている
酸はシミをつける
薬物は痙攣を引き起こす
銃は法律に違反している
ロープは切れる
ガスは臭い
ならばいっそ生きていたほうがよさそうだ

Dorothy Parker
http://en.wikipedia.org/wiki/Dorothy_Parker

Razors pain you, Rivers are damp,
Acids stain you, And drugs cause cramp.
Guns aren't lawful, Nooses give,
Gas smells awful. You might as well live.
(Nooses giveのNooseは輪縄、giveはたわうかな?)

 いやはやいやはや・・・
 三章「自殺の生物学」四章「自殺を防止するには」と続くようです。
[PR]
by rotarotajp | 2007-11-26 22:28 | 時事

「国家の罠」を読んで

 ちょっと古い本(2005)になりますが佐藤優氏の「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」を読了しました。全体に中央部がぼやけていて、誰と誰の利害が対立しているのか、どういう流れで事件が起こったのか、問題の核心は何なのか、がわからない体裁になっていて、御本人が情報専門家を自任しておられるだけに、読み進むうちに著作そのものが著者の「情報工作物」に思えてきます。
 核心部分以外の細部はよく出来ていて、読み物として面白く、最後まで一気に読んでしまいました。著者の根本がボヤかされている以上、共感/共鳴は出来ませんが、カフカの不条理小説を読んでいるようで、実にお薦めです。
 ムショ暮らし以外の部分でのキーワードは「国策捜査」。著者の主張の色は本を手にしていただくとして、最近の守屋次官のわけのわからない事件などが頭の隅をよぎり、日本の実際の識字率は5%という字面を見ると、なるほど、新聞なぞも「読んでるけど読んでいない」自分に気付かされます。
 そういう意味では欝に傾きやすい本でありました。

 実を言うと全編通してRotaが最も気に入ったのは後書きの中の一箇所。「国家の罠」という題を新潮社の方の提案で旧約聖書からとったと説明しているくだりです。出版の人から示唆を受けたと相手の実名付きで解説している。本編読書中にも思ったのですが、実利的なのか善意なのかは保留にしても、とことん気配りの人であるなぁと感じました。それともそれが本書の目的に適うからでしょうか?とにかく不思議な「胡散臭さ」のようなものがあって、あらゆるところにエクスキューズをつけたくなる・・・

 引用されたのはコヘレトの言葉。
 琴線に触れてくる言葉だったのでその「コヘレトの言葉」を検索してざっと読んでみました。(後書き部分で引用されていた箇所は以下。旧約聖書を丸ごと翻訳したようなサイトが簡単に見つからなかったのでRotaが参照した英語版から)

11. I returned and saw under the sun, that the race does not belong to the swift, nor the war to the mighty; neither do the wise have bread, nor do the understanding have riches, nor the knowledgeable, favor; for time and fate will overtake them all.

12. For a person does not even know his time, like the fish that are caught with an inferior trap and like the birds that are caught in the snare; like them, the children of men are trapped at a time of evil, when it falls upon them suddenly.
[PR]
by rotarotajp | 2007-11-23 16:01 | 私事

Por que no te callas?

 イベロアメリカ・サミットの雛壇で、スペイン国王がチャベス大統領に「何故に君は黙らんのかね?」(Por que no te callas?)と口を出した事件が話題を呼んでいるようです。
(Por queがたぶんWHYでnoが否定、teが君、Callasが沈黙/静か。フランス語と同じようだったらたぶんそうですが、スペイン語は基礎からまったく知らないので、もし違ったらゴメンなすって)

http://www.youtube.com/watch?v=Bjk1McjrWtg
 上の動画の途中で左を向いて一言発声している男性がフアン・カルロス一世国王です。
 チャベス氏はベネズエラの大統領。国で絶大な人気を得ておられまして、最近では国連でブッシュ大統領を悪魔と罵った演説が有名です。あえて表現するなら遅れて出てきた国家社会主義者とでも表現すべき人で、どうも独裁者への道をひた走っている観のある人ですが、アメリカの裏庭に生える日陰の草としては、このぐらいの生命力がなければ、と見る向きもあるようです。

 対するフアン・カルロス一世国王は何といってもスペインの民主化促進と、1981年のクーで果たした役割が有名です。

議会を制圧する軍
http://www.youtube.com/watch?v=JE-AdMQVH6g
声明を読み上げる国王
http://www.youtube.com/watch?v=x6kWPzaM4mI
(何を言っているかサッパリわからないので、この動画がホントに正しいのかはちょっと保証しかねますが、まず間違いないと思います)

 このクーはいわばスペイン版の226事件です。日付も2月23日と日本のそれに近いですね(笑
 国王は議会を占拠する反乱軍将校に提案された独裁を拒否し、立憲君主制の崩壊と国軍の暴発を防ぎます。そしてこの一件で国民の不動の人気を勝ち取りました。事件自体を人気取りの陰謀とする説もあるようですが、当初から王として君臨する道を選ぶことの出来た人が、このように姑息な陰謀を巡らせたとはちょっと想像できません。

 ただしこの国王、飾り物ではありません。
 憲法上(国王自身がその権利を行使していないにせよ)強力な機能を有しています。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/kenpou/gse/gse_chosa09.htm
 さらには王室の年費として12億円前後の金を自由に動かしているそうで、ユーロの時代になってからその贅沢ぶりが非難される事も多くなったようです。

 さて・・・・AFP(Agence France-Presse)の報道によるとベネズエラ、ニカラグア、ボリビア、エクアドル、キューバは、左派の支持者を集めて「人民サミット」の開催を呼びかけるそうです。社会主義的傾向にある国家だけで、別にサミットをやろうということでしょう。

 ユーロ圏の中でぬくぬくと存続するスペインと、貧困問題に悩まされ続ける南米の諸国が、同じテーブルを囲む事自体、無理なことなのかもしれません。
 スペインの参加は、フランス語圏の宗主を気取るフランス共和国に憧れてのことかもしれませんが、すでに帝国主義の時代は遠い昔です。同じ言語を共有するといっても参加諸国はそれぞれかけ離れた環境にあります。

 今回のイベロアメリカ・サミット(イベロはイベリアの意)。
 ブルボン王朝の末裔と、貧者・人民の友を自称する大統領との緊迫?の対決が見られた会合でもあったようです。王様はさっさと席を立ってしまいましたが、もう少しなにかアクションを見せて欲しかった・・・・
[PR]
by rotarotajp | 2007-11-12 18:36 | 時事

L'Arche de Zoeスキャンダル

 チャド共和国(Republique du Tchad)はアフリカ大陸中部の国です。1910年から半世紀もの間、フランスの植民地として呻吟し、1960年にようやく独立。以後、元植民地の例にもれず内戦が続き、今もフランス駐留軍が出入りして影響力を行使している他、最近ではウラン等の地下資源も確認され、石油も出るとあって、中共も介入の機会を狙う列強の草刈場になっているようです。

 さて、先月のこと。L'Arche de Zoeを名乗るフランスのNGO団体メンバーが、チャド共和国から1~10歳前後の子供たち、103人を誘拐しようとした容疑でチャド共和国の官憲に拘束されました。

 内訳はL'Arche de Zoeのメンバーが6名、ジャーナリストが3名、ベルギー人1名、脱出用チャーター機を提供したスペイン企業の乗員7名。チャド人2名。

 ダルフール一帯の虐殺行為で孤児となった、いわゆるダルフール孤児の「生命を守る為の緊急避難」というL'Arche de Zoe側の口実には、すぐに疑問符がつけられました。

 国際赤十字が現地で聞き取り調査を行ってみると103人の子供たちのうち91人までが孤児ではなかった事が判明しました。しかも子供たちが住んでいたのはダルフール一帯ではなく、チャド国内の村がほとんどだったとの事です。ただし、既出の記事を見る限り、この「誘拐」が納得づくで行われたのか、強奪誘拐拉致だったのか?その所は不明のようです。一番ありそうなのは金銭による売買でしょうか。

 L'Arche de Zoeメンバーらは子供たちに偽の包帯を巻いたり、偽の点滴を施したりして、いかにも危険地帯から脱出してきたばかりのような演出までしていました。

 BBCは欧州の300家族が、この「誘拐された子供たち」との養子縁組の為に140万ドル近いお金をL'Arche de Zoeに寄付していたと報道しています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/7063324.stm

 子供たちは現在チャド東部のアバチェにある孤児院に保護されています。
http://www.afpbb.com/article/politics/2304442/2293533

 アマチュア版「戦争の犬」モドキのこの事件。
 はたして人道作戦なのか、子供を守るという美名に隠れたお金儲け(人身売買事件)だったのか?議論が大きくわかれるところでしょう。

 チャド共和国の平均寿命は40代半ばです。

 解放されたL'Arche de Zoe同行者の一人は、L'Arche de Zoeのメンバーは狂信的であったと証言しています。彼らは1951年の紛争犠牲者に関するジュネーブ条約でL'Arche de Zoeの行動は、何をしたとしても完全に正当化できると考えていたようです。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7079542.stm

 チャドの大統領は「彼らは我々を動物として扱っている」と発言。
 朝日新聞の報道では、チャド共和国の観光相が「アフリカなら何でも許されると思っているのか!」とL'Arche de Zoeを批判したとの事。

 チャド国民も感情的になっているようで、厳罰をもって処すべしとの声が大きいのだそうです。チャドを日本に置き換えてみればチャド国民の怒りは容易に理解できます。
 L'Arche de Zoeの言い分も見てみたいのですが、こちらはHPが落ちているようで確認出来ませんでした。

 
[PR]
by rotarotajp | 2007-11-06 21:43 | 時事

諸事雑感

 人が人でなくなる。
 そういう瞬間が歴史にはあると思います。

 ナポレオンが三帝会戦で中央に主力を振り向け、ヒトラーが陥落したパリの廃兵院に立ち、リンカーンがゲティスバーグの演説台に右足をかけ、ジュゼッペ・ガリバルディが国王の前にひざまずいた、そんな特別な時です。

 1805年12月、ナポレオンはフランスの兵士たちに告げました。
「わたしは満足している。諸君はアウステルリッツにおいてわたしが諸君にかけた期待を裏切らなかった。諸君は諸君の軍旗を不滅の栄光で飾ったのだ。ロシア皇帝とオーストリア皇帝の指揮した十万の軍は四時間足らずの間に、あるいは遮断され、あるいは四散させられた。諸君の砲火を免れた者も湖水に溺れて死んだ。ロシアの近衛隊の40本の軍旗、120門の大砲、20人の将軍、3万の捕虜が、永久に語り継がれるこの日の戦果である」

 これだけの事を口に出来る人を「運命の人」と呼ばずして何と呼べばいいのでしょう?

 ルイ14世は閣議から摂政を締め出して親政を開始した時、ヒールの高いバレーシューズ以外に格別の功績があった人ではありません。それでもL'Etat c'est moiと豪語して自在に権力を行使しました。
 人には自身を太陽の化身と呼ばせましたが、そうであっても不思議のない栄華を生涯まとい続けました。

 昨日、11月1日。ポール・ティベッツ退役准将が自宅で亡くなられたそうです。
 62年前、1945年8月6日午前8時15分。B-29 シリアル・ナンバー44-86292 Enola Gayの元機長ポール・ティベッツ氏は軍令に従い人類初の実用原子爆弾を広島に投下しました。享年92。

 山崎方代(ほうだい)氏という歌人がおられるのですが、実は最近まで目にしたこともありませんで、新聞記事の端に「ふるさとの~」の歌が書かれていたのをタマタマ読んで「ああ、」とファンになりました。

「ふるさとの右左口郷は骨壷の底にゆられてわがかえる村」

 右左口郷(うばぐちむら)というのは山崎方代氏の山梨の郷里だそうです。歌集など見つけたら読んでみたいのですが、ナカナカ出会わずにおります。
 
「あきらめは天辺の禿のみならず屋台の隅で飲んでいる」
「こんなところに釘が一本打たれていていじればほとりと落ちてしもうた」

「一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております」

 神様になれる人ばかりではありません。
 時と場所に縛られて、地縛霊のように木霊を返す人もおられます。

「こんなにも湯呑茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり」
[PR]
by rotarotajp | 2007-11-02 20:10 | 私事