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日々是勉学


by rotarotajp
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病葉

 クレッチマーはその著書の「天才の精神学」の中で「内的生命の高揚がありさえすれば、人はどんなに貧しい小都会にあっても、彼の感興をひく事物を至るところに発見するに違いない」といっています。イタリアからワイマールに帰って塞ぎこんだゲーテの不作時代を指しての言葉です。

 さて、ゲーテではありませんが、このところRotaは大いに不調であります。

 拙者はクレッチマーの論には少々懐疑的でありまして、近所の景色も多少は創作に影響しているのではないかと思っています。

 この辺は詩心とはまったく無縁の住宅地です。
 整然としていても美しくない。

 興が薄れた気分ほど味気ないものはありません。
 ふと好みの女の子を横目で見たときに、一瞬目の底に力が漲る。その程度の色気を「景色」にも持ってもらいたい。

 夏というのはその点で、どうにも息が詰まるような気がします。
 白くて影が薄くて、景色が残酷になります。
 
 そんな気分の時に、夏の基本季語の中に「病葉」(わくらば)というのがあって共感。

「青葉の繁茂した中に、たまたま蝕まれて変色した葉」(基本季語500選=学術文庫)

 作例としては虚子の「病葉や大地に何の病ある」があります。
 これは病葉を題材にしても力強い。

 ついでに「病葉」ではないけれど、夏になると思い出すのをもう一個、

「分け入っても分け入っても青い山」(山頭火)

 生命に抱かれるような、山道を踏みしだく足音が聞こえてくるような、いい句ですなぁ。
 こんな心境になってみたいもの。
 
 何事も修行なのでしょうか・・・
by rotarotajp | 2007-07-12 21:29 | 私事